重一郎は五千年ぶりの天変について語った後、こう続けます。
「インドあたりじゃ、この日が世界の終りだとさわいでいるらしいが、われわれにとっては、忙しい一家が久しぶりに茶の間に顔を揃えた、というだけのことじゃないかね。しかし、いずれにしろ久々のことだから、私はその日の一家団欒をたのしみにしているんだが・・」
当然ですが、集合する天体の中に太陽が入っているわけですから、太陽以外の天体の光は太陽光に圧倒されて見ることは出来ません。もっともニューギニアでは皆既日食が見られたので、晴れていれば五つの惑星を見ることは出来たでしょう。
同じ理由で、西洋占星術で言う誕生日の星座は、その期間には太陽が通過しているので夜空で見ることは出来ません。自分の誕生日の星座を見たければ、誕生日とは反対の季節になります。もう少し厳密に言うと、たとえば「夏の星座」というのは夏の真夜中ではなく、夏の宵によく見える星座を言うので、誕生日より3~4カ月前が見頃です。明け方に夜空を見る人は少ないでしょうが、明け方なら3~4カ月後によく見えます。
重一郎一家も天体の観察は出来ないことを知っているので、その天変の夜は茶の間でそれぞれの仕事や勉強をしましたが、その団欒は警察官の来訪で終ることになります。
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