「宇宙人」同士の対話で「火星人」大杉重一郎が挙げる「人類の五つの美点」は有名で、しばしば引用されます。重一郎は「もし人類が滅んだら、私は少くとも、その五つの美点をうまく纏めて、一つの墓碑銘を書かずにはいられないだろう」と言って、碑文の草案を説明します。
『地球なる一惑星に住める 人間なる一種族ここに眠る。
彼らは嘘をつきっぱなしについた。
彼らは吉凶につけて花を飾った。
彼らはよく小鳥を飼った。
彼らは約束の時間にしばしば遅れた。
そして彼らはよく笑った。
 ねがわくはとこしなえなる眠りの安らかならんことを』
重一郎は続けて、この五つの美点を「あなた方」(白鳥座61番星人)の言葉に翻訳します。
『彼らはなかなか芸術家であった。
彼らは喜悦と悲嘆に同じ象徴を用いた。
彼らは他の自由を剥奪して、それによって辛うじて自分の自由を相対的に確認した。
彼らは時間を征服しえず、その代りにせめて時間に不忠実であろうと試みた。
そして時には、彼らは虚無をしばらく自分の息で吹き飛ばす術を知っていた』
そして「あなた方は後のほうの墓碑銘を立派で好もしいと思うだろうが、私はもちろん前のほうが好きなのだ」と付け加えます。
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