三人の白鳥座61番星人との論争は、最後はもはや論争ではなく、羽黒たち三人が重一郎を長々と罵り続ける状況になります。妻の木星人・伊余子と娘の金星人・暁子が物音に驚いて駆けつけると、すでに三人は去り、重一郎は床の上に倒れていました。重一郎はすぐに起き上がりますが、傷悴しきった様子でした。
この設定には突っ込みを入れたくなるところです。向こうは三人なのに、重一郎は家族の助けもなく一人で相手をしています。息子の水星人・一雄は政治に首を突っ込み、政治家の黒木克己の部下になって忙しい状況です。しかも自分の出世を交換条件に父が火星人であることを黒木と(黒木のブレーンになった)羽黒たちにばらしたのですから、父とは確執があったわけです。それでも家に居合わせたら、どうなったか分かりません。
伊余子と暁子はどうでしょうか。暁子はお茶を運びますが、銀行員の栗田は「お嬢さんはやっぱり人間ですね。あんな人間ばなれのした美しさは、人間に決っている」と言い、重一郎は「そうです。娘は人間です。・・そこが私とちがうところです」と応じます。重一郎はあくまで家族の秘密を守り、一人で論争に挑みます。自分が末期の胃癌だと知らなくても、半ば気づいていたのかもしれません。
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