この章もなかなか通快です。
「バカという病気の厄介なところは、人間の知能と関係があるようでありながら、一概にそうともいいきれぬ点であります。いくら大学の金時計組でも、生れついたバカはバカであって、これも死ななきゃ治らない。秀才バカというやつは、バカ病の中でも最も難症で、しかも世間にめずらしくありません」
そして三島は「謙遜バカ」「ヒューマニスト・バカ」「自慢バカ」「三枚目バカ」「薬バカ」を列挙し、「文明の進化と共にバカ菌にはますます新種がふえるばかりです」と述べた上で「テレビ・バカ」「週刊雑誌バカ」「南極犬バカ」「あやかりバカ」を挙げます。現代でもパソコン・バカ、ケータイ・バカ、スマホ・バカ、ブログ・バカなどが出現しています。
最後の部分では、先年の皇太子御結婚パレードの沿道に並んだ中年のオヤジさんとテレビのアナウンサーのやりとりを記しています。このオヤジさん、「わしはテレビはきらいじゃ」と言うので「ハハア、なぜおきらいなんです」とアナウンサーがきくと「自分の目で見たほうがたしかだからな」と答えます。「それじゃ御自分の目でこれからたしかに御覧になることを、お宅へかえってから奥さんに話しておきかせになるわけですね」「イヤ、別に話してきかせません」三島は「このオヤジさんは賢者なるかな」と感じ入ったそうですが、私は賢さが分かりません。どうやら私もバカのようです。
お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m