前回の投稿で、手塚治虫が漫画化した「火の鳥」とイエス・キリストの関係を指摘しましたが、「火の鳥」は秋の星座にもなっています。和名は「ほうおう(鳳凰)座」です。原恵氏の『星座の文化史』から引用します。

ほうおう(鳳凰)座(秋、南天)
晩秋の宵、南の地平線に近く南中する星座で三等星が二つ、くじら座の尾の先の星デネブ・カイトスの南のほうに見えるあたりである。
がんらいは古代ギリシアやローマでその存在が信じられた不死鳥である。美しい金色と赤い翼の霊鳥でインドに住み、五百年の寿命がおわると、自らたきぎを積んで焼け死に、その灰の中から若々しくよみがえって、再び飛び立つという。夕方西に沈んで、翌朝東にのぼる太陽の象徴であるともいうが、中世の間に、フェニックスは十字架上に死んで三日目によみがえったキリストのシンボルとなった。
わが国では、明治以来この星座は鳳凰と訳されてきたが、これは西洋のフェニックスとは同一のものとは言えないが、東西の霊鳥をうまくあてはめた訳ではある。

手塚治虫の『火の鳥』でも、奈良時代の日本を舞台にした巻は『鳳凰編』と名付けられています。
三島由紀夫の『豊饒の海』第一巻『春の雪』では(好きな場面なので既に何度か取り上げました)清顕・本多とシャム(タイ)の二王子が夏の星座を見上げる場面で「白鳥座の北十字星」が登場します。白鳥座はギリシアの大神ゼウスが変身し、レダのもとに通った姿とも言われますが、キリスト教徒はこれを神聖な十字架と見ました。改めて見ると、フェニックスか鳳凰のようにも見えてきます。『春の雪』ではこのすぐ後で、松枝清顕が飯沼勲に生まれ変わって猟銃で鳥を撃つ夢(もちろん清顕は自分が生まれ変わったとは気付かない)を見る場面が続き、独特な効果をあげています。
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