私がハンドルネームに使っている「アンタレス」はさそり座の赤い一等星で、夏の宵に南天で輝いています。今の季節は見えません。冬で赤い一等星と言えば、オリオン座のベテルギウスがよく知られています。
ベテルギウスは超新星として爆発する寸前だということが天文学では言われています。「寸前」と言っても天文学的な時間のことですから、今夜かもしれないし、数千年後かもしれません。もし爆発すれば満月のような明るさになり、大きな騒ぎになると思われます。
アンタレスやベテルギウスは直径が太陽の数百倍、体積はその三乗で数百万倍もあると言われますが、これほど体積が違っても、質量(重さ)はそれほど太陽と変わらず、数十倍の違いしかありません。ほとんどの質量は小さな中心核に集中しており、それ以外の大部分は「赤い真空」のようなものです。
恒星の一生は、質量だけでほぼ決定されます。太陽程度の質量の星は原子核融合がゆっくりと進むので寿命が数十億年と長く、爆発も起こさずに静かに死んでゆきます。アンタレスやベテルギウスのように重い星は激しく反応して明るく輝き、寿命は短く(と言っても数百万年のスケール)超新星の大爆発を起こして周囲に破片を撒き散らし、中心核は逆に収縮して時空が歪んだブラックホールになるようです。早い話が、質量が大きければ「太く短い」一生であり、質量が小さければ「細く長い」一生になるということです。とても単純です。
質量だけで決まる恒星の一生に比べて、生物や人間の一生は遥かに複雑です。細胞分裂で増える原始的な生物の場合、「寿命」の概念がハッキリしません。人間の場合、長くて数十年から百年の一生はとてもハッキリしているように見えますが、細胞の単位で見た場合、生殖細胞は太古の地球で生物が誕生してから数十億年にわたって生き続けているという見方も出来ます。
生物と無生物の境目も大きな問題です。細菌(バクテリア)は間違いなく生物ですが、結晶するウィルスは生物と無生物の中間的な存在です。現在のような地球の環境では無生物から生物が発生することは有り得ないとされますが、太古の過酷な地球環境ではそれが起こったはずです。
こうした科学的な思考はある程度の精神的な安らぎを与えてくれますが、それだけでは説明のつかない部分もありそうです。それは宗教や芸術で補われるべきものかもしれません。
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