私が住んでいる愛知県は製造業が盛んなところで、工場が多いです。しかし私の両親は英語と社会科の教師で、ものづくりをバカにする傾向が強い人達でした。建設業に携わる人達のことも「土方(どかた)」と呼んでバカにしていました。工場で働く人達より、自分達は高等な人種であると本気で思っているように見えました。私も反発しながら影響を受けてしまっていました。
文学者の中では稲垣足穂は工作や機械が好きな人物でしたが、漫画家では松本零士がそれに当たります。『銀河鉄道999』の「鋼鉄天使」ではマスプロンという工場惑星が登場します。ここは銀河鉄道の車両を含め、全宇宙のありとあらゆる製品を作り続けているところです。停車駅の名は「旋盤駅」で、泊まるホテルは「フライス盤ホテル」です。物を生産すること以外に何の関心もなく、確かに問題はあるのですが、それでも星野鉄郎はメーテルにこう言います。

ぼくは何もせずに文句や不平ばかり言ってる人より、一生懸命働いて物を造っている人が好きだよ。オイルのにおいも好きだよ。

神ならざる人間には無から何かを創造することは出来ませんが、材料を集めて組み立てて誰かのために何かを作ることは、本来とても楽しいことではなかったのでしょうか。それが大規模に進歩し過ぎると、カール・マルクスが言ったように「疎外」が生まれるのでしょう。マックス・ピカートが書いたように、現代の都会の大工場は怪物のようなもので、「工場」とは別の名前で呼ばれるべきものです。中には戦争や人殺しの武器を造っているものさえあります。

人間が造った「もの」は果てしなく宇宙に広がってゆく。きらめく星の光の中で持ち主をはげまし助け、ともに喜び悲しみ、そしていつか壊れて消えてゆく。鉄郎は働いてものを造る人たちがとても好きだ。

『銀河鉄道999』では「ネジ」がとても重要な役割を果たします。鉄郎は機械の体をもらいにアンドロメダに行きますが、最後にどうしてもカタログから選ぶことが出来ず、ネジの体にされそうになります。ネジは車輪とともに人類の偉大な発明であることを改めて感じます。
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