1990年代にベストセラーになったグラハム・ハンコックの『神々の指紋』は、買っただけで読んでいなかったのですが、一度読んでみることにしました。
1万2千年前に最後の氷河期が終わる頃に超古代文明と大災害があり、その痕跡が「ノアの大洪水」伝説など、世界各地に残っているという主張は旧ソ連のゴルボフスキーの『失われた文明』という本で読んだことがありました。冒頭に出てくる古代の南極大陸の地図は、確かゴルボフスキーも言及していたと記憶します。本書で目新しいのは黄道十二宮の「歳差運動」を詳しく取り上げ、オリオン座の三ツ星をギザの三大ピラミッドと結びつけるなど、天文学や数学の解説が豊富なことです。
いま読んでみると、たとえば2012年に世界的災害が起こるかのようなマヤの予言は当たらなかった(当たらなかったからこそ、こうしてブログが書けるのですが・・)とか、突っ込みどころも多いですが、古代史には謎が多いことは確かで、定説に疑問を持つことは大事だと思います。
学校の先生が子供に教えるときは、まるで先生は(ということは、現在の人類は)何でも知っていて、学問には疑問の余地も無いように見えますが、現実にはそんなことはありません。学問の最前線は工事現場のようにごちゃごちゃしているという見方が正しいと思われます。
学校の教育でも、本来はそういうことを教えるべきでしょう。ルイス・トマスの『科学者の夜想』にそんな考え方が書かれていました。彼は生物学者ですが、最先端で意見が対立している生物学者たちを学校に呼んで、子供たちの前で論争させたらどうかと言っていました。子供たちは呆れて見ているだけかもしれませんが、それが最大の教育になると言うのです。つまり、確実なことを知っている人は誰もいない、ということを教えるべきだということです。
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