三島由紀夫の『豊饒の海』第4巻の『天人五衰』で、清水港の通信員をしていた安永透は本多繁邦の養子になります。東大に入ってから繁邦に暴力をふるいますが、松枝清顕の夢日記を読んで自殺を図り、失明して生き続けます。
自分の人生を思うと、安永透の人生を逆に辿っているようにも見えます。警備員の仕事は通信員に似て「見る」ことが大事ですが、通信員と違って「見られる」要素もあります。三島由紀夫はこの両方の要素を持っていました。
自分の人生がこれからどう続くのかは未知数ですが、『豊饒の海』は難解な唯識論と共に、まだ影響を与えているようです。三島が自決した1970年は大阪万博の熱狂で安保改定が霞み、日本が深い闇に入った年だったように思われます。
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