数学に関心を持たなかった三島由紀夫ですが、『豊饒の海』第三巻『暁の寺』十三にはピタゴラスに関する記述が出ています(「ピュタゴラス」と表記されています。)

オルペウス教の祖述とも深化とも云われたピュタゴラス教団は、輪廻転生説と宇宙呼吸説をその特色ある教義とした。
本多はこの「宇宙が呼吸する」という思想の跡を、のちにインド思想と永い対話を交わすミリンダ王の生命観霊魂観の裡に辿ることができたが、それはまたわが古神道の秘義にも似ていた。

三島はピタゴラスより、それに先行するオルペウス教やディオニュソス信仰に多くの頁を割いています。また『暁の寺』十四では十七、八世紀のイタリアに復活した輪廻転生説に目を向けています。
数学についてもピタゴラスの精神は近世のタルタリアやガリレオ・ガリレイに受け継がれており、歴史の奥深さを感じます。
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