内田樹氏が発言していましたが、村上春樹は作家について「自分のヴォイスを見つけた人」と言っているとのことです。ヴォイスが見つかると、あとは無限に書けるというのです。
村上春樹については批判的な評論家も多いようですが、内田氏は高く評価しており「とても宗教的な作家だ」とも発言しています。私も何冊か読んだだけですが同じ印象を持っています。表面的なシティライフなどではなく、死者や異界との交流が大きなテーマになっているから世界的に読まれているのでしょう。
ただ「ヴォイス」(あるいは「文体」と言ってもよいでしょう)には落とし穴もありそうです。稲垣足穂は「一度でも新聞小説を書いたら終わりだ。そういう人間が何を言おうと自分は信用しない」と書いています。ヴォイスや文体が本物かどうかは、それほど容易には判断できないと思われます。
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