前回の投稿で書いたように、記紀の史料性には限界があります。しかし、幸いにも日本の隣には古い文明国の中国があり、中国の史料と組み合わせることで日本の古代史をかなり明らかにすることができます。
5世紀の倭の五王は最後の武王(ワカタケル大王、オオハツセノワカタケ=雄略天皇)を除いて名前が一致しないと言われますが、そんなことはありません。最初の讃王はホムタワケ=応神天皇の「ホム」の漢訳であることを前田直典氏が明らかにしており、私は珍王をミズハワケ=反正天皇の「ミズ」(見ず、珍しい)の漢訳、済王をワクゴノスクネ=允恭天皇の「スクネ」(王を助ける家臣。済には救済の意味がある)の漢訳と考えています。
興王とアナホ=安康天皇の関係は謎ですが、穴穂は地名に過ぎず、失われた本名と関係があるのかもしれません。
お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m
5世紀の倭の五王は最後の武王(ワカタケル大王、オオハツセノワカタケ=雄略天皇)を除いて名前が一致しないと言われますが、そんなことはありません。最初の讃王はホムタワケ=応神天皇の「ホム」の漢訳であることを前田直典氏が明らかにしており、私は珍王をミズハワケ=反正天皇の「ミズ」(見ず、珍しい)の漢訳、済王をワクゴノスクネ=允恭天皇の「スクネ」(王を助ける家臣。済には救済の意味がある)の漢訳と考えています。
興王とアナホ=安康天皇の関係は謎ですが、穴穂は地名に過ぎず、失われた本名と関係があるのかもしれません。
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コメント一覧 (18)
capelaurig
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安全と 聞いたが見たら 噓ばかり (柚っ子)
情報の 見える化こそが 望まれる (乾草)
見るからに 頼りないなあ スカ総理 (原子力ガリレオ)
裁判官 福島見てから 判決を (ふ64)
強行で 復興見えず 地獄見る(孫じい)
特選
みるみると 瓦解内閣 見ることに (ごーるでんぱんだ)
「伸ばす」の部の秀句
原子炉の 命を伸ばす 六十年 (原子力ガリレオ)
脱原発 のばすは何時ぞ 五月晴れ (落葉)
赤木ファイル 間延び裁判 どこまで続く (ごーるでんぱんだ)
例外と いいつつ伸ばし 再稼働 (乾草)
政権の 命を伸ばす 五輪かな (ふ64)
特選
伸び伸びと 育つ暮らせる 世の中に (ふ64)
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「おなかの子の父は……その男はついてこなんだんか」
「東京へ……もう京へは帰らはらへん。あちらで奥さまを……」
「子のでけたん知って、捨てて逃げくさったか」と、吉松は顔色をかえた。
「知ってはらへん。母さん、そんなお方やないのや」
「あほんだら」
頭から吉松が怒声をあびせかけた。
「そんなお方もへったくれもあるけえ。何さまか知らんが、腹の子の父親なら、江戸でも蝦夷でも行って、わしが連れもどしてきちゃるぞ。ええか、お世祢、びすびす泣かんとけ。俺があんじょうしたるわい」
激昂しながら、父も母も姉に聞かせまいと、つとめて声は低い。世祢は高ぶる感情を必死におさえて、涙をはらい、坐り直した。
「東京へお移りにならはる前の日に、伏見までお使いがこれを届けてくれはったん……」
風呂敷をとき、母の前に押しやった。白綸子の、目をみはるばかりあでやかな小袖に見慣れぬ横見菊車の紋が一つ。それに……宇能は声をのんだ。錦の袋にくるまるのは、一振りの白木の短剣ではないか。
「これは、うちの守り刀にと……それにこの金子も……」
美しい布地で作った巾着にも、小袖と同じ菊の定紋がある。世祢は小袖をすくい上げて胸に抱き、艶やかな絹の手ざわりに頬を染める。その小袖から、はらりとすべり落ちた物があった。吉松がひろって眺め、宇能に手渡す。字は苦手、というより、まったく文盲の父であった。粛として、宇能はそれを見つめる。
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茲に霊界に通ずる唯一の方法として、鎮魂帰神なる神術がある。人間の精霊が直接、主の神に向かって神格の内流を受け、大神と和合する状態を帰神といふのである。帰神とは、我精霊の本源なる大神の御神格に帰一和合するの謂である。故に帰神は大神の直接内流を受くるに依って、予言者として最も必要な霊界真相の伝達者である。霊国に在ってエンゼルの地位に進んだ天人が、人間の精霊に降り来り、神界の消息を人間界に伝達するのを神懸といふ。神格の間接内流とも云ふ。外部より人間の肉体に侵入し、罪悪と虚偽を行ふ邪霊がある。之を悪霊又は副守護神といふ。此情態を神憑といふ。(第48巻 変現乱痴 聖言)
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わが恋は深山の奥の草なれや 茂さまされど知る人ぞなき
裏を返して、あっと小さな叫びを上げた。印と花押の上に力強い筆致で記された御名を、宇能は知っている。宇能の叔父中村孝道は高名な言霊学者であり、女ながら、その素養の一端を受けついだ彼女であった。勤皇の志あつい叔父孝道から、幾度もその御名を聞かされていた。
蛤御門の変により、その方は先帝のお咎めを受け、輪王寺の里坊に蟄居の身であられたことがある。そのころ、伏見の弟がその御不自由をお助けするためひそかにお出入りしているのを、宇能はそれとなく察してはいた。
――でも、その高貴なお方が田舎娘の世祢を……まさか……。
信じられぬ惑いのうちから、宇能の脳裡に鮮烈に浮き上がる光景があった。
昨年、即ち慶応四(一八六八)年の二月十五日、世祢に会いに伏見の弟の船宿を訪ねた翌日であった。京の町々は、錦旗節刀を受けて江戸へ進発する親王を見送らんとする人々で、異様な興奮にわき立っていた。御所宜秋門から下る街道の町なみは、ぎっしり人の波であった。湧き上がる横笛と大太鼓、小太鼓の音が、踊るように響き渡る。
〽宮さん宮さん お馬の前に ひらひらするのは何じゃいな
トコトンヤレトンヤレナ……
街道は、人々の唱和する歌声にうずまった。長州萩藩士の品川弥二郎作詞、井上馨の愛人、祇園の君尾作曲の、この六番からなる、「都風流トコトンヤレ節」は、すでに出陣前から木版でばらまかれ、京の人々の愛唱歌であった。先頭をきるのは、周山に近い山国勤王隊の斥候銃隊。黒い筒袖の軍服に白鉢巻、白腹帯をしめ、赤い赭熊の毛を肩にたらして威風堂々。続く銃隊に守られて錦旗二旒、錦旗奉行二名が騎馬で行く。萌黄緞子十六葉菊の旗一旒。
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霊国に住める霊国天人より来る間接内流は人間肉体の各方面より感じ来り、遂に其頭脳の中に流入するものである。前額及こめかみより大脳の所在全部に至る迄を集合点とする。此局部は霊国の智慧に相応するが故である。天国に住める天的天人よりの間接内流は頭中小脳の所在なる後脳といふ局部即ち耳より始まって頸部全体に入するものである。此局部は証覚に相応するが故である。
天人と語り合う者は、高天原の光によって其処にある事物を見ることを得る。其人の内分霊覚は此光の中に包まれているからである。天人は此人の内分を通じて、地上の事物を見ることを得る。即ち天人は人間の内分によって、現実界を見、人間は天界の光に包まれて、天界に在るすべての事物を見ることが出来る。天界の天人は人間の内分によって世間の事物と和合し、世間は又天界と和合するに至るものである。之を現幽一致、霊肉不二、明暗一体といふのである。(第48巻 変現乱痴 聖言)
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capelaurig
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「ほんまに御立派どすなあ。見とみやす。あの若宮さまが官軍の総大将で江戸へ行かはる。西郷はんを参謀に連れとってどっせ」
白鹿毛の馬上豊かに緋精好地の鎧直垂、烏帽子姿の凛々しい親王は、宇能の眼に眩しいばかりであった。思わず手を合わせ、拝していた。
――あの時のあのお方が、有栖川宮熾仁親王さまが世祢の子の父。
宇能は絶句した。「どうや、梅吉、上田吉松はんの家、婿を捜しとってんやが、お前、なる気はないけ」
主人の斎藤庄兵衛から不意に縁談を持ち出され、膝小僧をそろえた佐野梅吉はきょろんとした顔色であった。
「上田はんも今は貧乏しとってやが、昔はたいしたこっちゃで。家柄かて立派なもんや。さっき、お宇能はんがお須賀に頼みに来やはってのう。」
「よい話やんかいさ。うちかて、近所の家を梅吉が継いでくれたら、気心知れた仲やし、なにかと便利やもん……」と、妻女の須賀が口をはさんだ。
――あんまりや。ぶす(不器量)やし、体かて弱いし、それに俺よりだいぶんと年上やんか。梅吉は、不満げに横を向いた。
「伏見の水で磨きをかけたせいか、えらい垢抜けしてのう、亀岡へ行ったおふやん(次女ふさ)も別嬪やったが、まだ一段と上や。気立てはよし、働き者やし、お前の嬶には過ぎたもんやがのう」「え、誰と……」
「何を聞いとるのや。上田吉松の娘お世祢はんとやがな」
梅吉はべそをかいたような顔になった。首筋までかっと熱くなった。鄙にはまれな、といっていい末娘世祢の美しさは、主人に聞かされるまでもなく知っている。二年前、伏見へ去った時、無念がる村の若い衆も多かった。梅吉もその一人だった。須賀は梅吉が不服とみたのか、突っけんどんな口調になった。
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