カテゴリ: 絵本、児童文学

何十年ぶりかで手塚治虫の『火の鳥・太陽編』を読み返してみましたが、三島由紀夫の『豊饒の海』で輪廻転生のシンボルとなる「三つの黒子」が冒頭の部分に描かれており、驚きました。
『火の鳥・太陽編』は古代と近未来が交錯する物語です。古代は西暦663年の白村江(はくすきのえ)の敗戦から672年の壬申の乱であり、近未来は1999年から2009年です。2018年の現在では過去になってしまいましたが・・
古代の朝鮮半島では高句麗・百済(くだら)・新羅(しらぎ)の三国が争っていました。百済の友好国であった倭(日本)は百済を助けて出兵し、新羅とその後ろ楯であった唐の大軍と戦いますが大敗し、百済は滅び、倭は半島から撤退しました。
物語は白村江の海戦に続いて激戦となった州柔城(つぬさし)から始まります。ここでも倭と百済の連合軍は敗れ、唐軍に捕まった捕虜の中に高貴な身分らしい青年がいました。唐の将軍はその青年の正体を知るため、右腕を見せるように命じました。すると右の上腕部に三角形の黒子のようなものが現れました。将軍はそれを見て「おまえは百済国王・余豊璋の一族ハリマだな」と正体を見破りました。
この場面の意味はよく分かりません。三角形の頂点だけでなく辺も描かれており、黒子ではないかもしれません。黒子らしきものはここ以外の場面では一切現れません。
三島由紀夫は手塚治虫の漫画を読んだと思われますが、手塚が三島の小説を読んだとは考えにくいです。それでも三島の切腹は大事件であり、『豊饒の海』は遺作ですから、手塚もあらすじは知っていたかもしれません。
それとも、出口王仁三郎の『霊界物語』からヒントを得たのでしょうか。ただ王仁三郎の黒子はオリオンの三つ星のように一直線だったらしいので、三角形ではありません。三島の『豊饒の海』では一直線なのか三角形なのか分かりにくいという話は、当ブログでも解説しました。
『太陽編』は手塚のライフワーク『火の鳥』の最後の作品でした。手塚は『太陽編』の後、さらに『大地編』を構想していました。残されたノートによると、『大地編』は西暦1938年(昭和13年)日中戦争の「勝利」に沸く上海(しゃんはい)に始まる物語でした。この作品を読むことが出来ないのは残念です。
沖縄県知事・翁長雄志さんのご冥福を心からお祈りします。
お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

星座の話が出たので、今日は脱線して宮沢賢治の『星めぐりの歌』を取り上げてみます。
これは文学であって科学の論文ではないので、たとえば初めの「あかいめだまのさそり」が目玉でなくて心臓だとか、文句をつけても仕方がないでしょう。「あおいめだまのこいぬ」も、恐らく小犬座のプロキオンでなく大犬座のシリウスだと思われますが、「おおいぬ」だと音数が合わないので「こいぬ」にしたのでしょうね。
「ひかりのへびのとぐろ」は、ユーチューブで見ると「へび座」が出てきて、ウィキペディアでは「りゅう座」としていますが、そんな地味な星座でしょうか。私は銀河(天の川)と解釈したいと思います。川の流れはしばしば蛇にたとえられますし、銀河が全天を一周しているのはとぐろを巻いている「光の蛇」のようです。
アンドロメダの雲(アンドロメダ銀河)をどう見れば「さかなのくちのかたち」になるのかと、悩む必要はありません。アンドロメダ座は秋の星座ですが、秋の唯一の一等星「みなみのうお座」のフォーマルハウトの名前はアラビア語で「魚の口」の意味です。賢治は秋を代表する星と星座を並べただけで、「かたち」に特に意味はないと考えます。
お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m

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