日の神・天照大神が皇室の祖神とされ、神話で華々しい活躍をするのに対して、月の神・月夜見尊(月読命)はほとんど事績が伝わっていません。唯一その事績が伝わるのが『日本書紀』一書で食物の神・保食神(うけもちのかみ)を殺す神話です。月夜見尊は口から様々な食物を出してもてなした保食神を「口から吐いたものを俺に出すのか」と怒って剣で殺してしまいます。保食神の体の各部分からは稲を含む様々な穀物や蚕・牛馬が生まれ、これが五穀などの起源になったということです。
これによく似た話が『古事記』にあり、須佐之男命が大宜都比売を殺す話になっています。月夜見尊と須佐之男命は同一神だったのかもしれません。月夜見尊の乱暴に怒った天照大神は、それまでは弟と並んで天を治めていましたが、弟と離れて暮らすようになります。これは月の満ち欠けを説明した神話と思われます。
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