『古事記』神話にある大年神の系図は謎です。大年神は須佐之男命の子とされていますが、大年神の子である羽山戸神が大気都比売神を妻にしているのが奇妙です。大気都比売神は須佐之男命に殺され、五穀の起源になったと『古事記』は記しており、世代が合いません。
大気都比売神の系図が正しいとすれば、大年神は須佐之男命の子ではなく、伊邪那岐命以前の神と考えられます。
そこで神世七代(七代目が伊邪那岐命)を見直してみると、五代目に「意富斗能地神」がいます。極めて似た神名です。『日本書紀』の一書ではこの神を「大戸摩彦尊」と記しており、『古事記』の大年神の系図では娘としてカマドの女神「大戸比売神」が登場します。
伊邪那岐命と伊邪那美命の神生みでは「大戸日別神」「大戸或子神」「大戸或女神」も現れ、この検討も必要になります。
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