これはエッセイ集『エロスの解剖』に収められた一編で、なかなか興味深いです。冒頭から面白いです。
サド侯爵の作品やエロティック文学の研究をしているうちに、パリ国立図書館の「危険書庫」というものに興味をもつようになった。パリの国立図書館は、さかのぼれば十六世紀フランソワ一世の黄金時代に端を発しているが、十九世紀の初頭から、その一郭に、とくに風俗壊乱の惧れのあるエロティックな書物を集めた、公開禁止の部屋が設けられて、それが「危険書庫」と呼ばれてきたわけである。
こうした書庫はパリだけでなく世界中にありますが、澁澤先生は大変にお詳しいようです。さらに拝聴しましょう。
エロティック文学を集めた書庫に「地獄」室とか「秘密」室とかいう大げさな名前をつけたがるのは、そういうものに対して通常人が感じる、当惑と恐怖の証拠かもしれない。(中略)厳重に公開を禁止している「地獄」室もあれば、一般人にも比較的容易に見せてもらえる書庫もある。ヴァティカンの図書館では、書物好きの研究者のために便宜をはかってくれるし、パリの国立図書館でも、学者や研究者の閲覧希望はかなり自由に許してもらえる。ワシントンの国会図書館は、この点に関してまったく自由で、十六歳以上の年齢の者なら誰でも閲覧を許される。ただし・・
「ただし」の後が気になりますが、それほどのことはありません。
ただし、閲覧者が本を見ているあいだ、背後にピストルをもった髭の番人が控えているというから、あまりいい気持ちはしないだろう。これは、挿絵のあるページを切り取って持って行くような不心得者がいるためである。
私も最近、佐藤昭子さんの本を色々な図書館で見ましたが、ある図書館では彼女の水着写真のページが切り取られていました。とんだ不心得者がいるものです。誓って申しますが、切り取ったのは私ではありません。
図書館の職員にも色々な人がいますが、私がいた頃、東京大学の本郷の図書館員は最悪でした。あまり愛想が悪いので、わざと怒らせて一触即発になったこともあります。当時は私も不安定で(今でも不安定ですが)少し悪かったかなとも思います。
お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m
サド侯爵の作品やエロティック文学の研究をしているうちに、パリ国立図書館の「危険書庫」というものに興味をもつようになった。パリの国立図書館は、さかのぼれば十六世紀フランソワ一世の黄金時代に端を発しているが、十九世紀の初頭から、その一郭に、とくに風俗壊乱の惧れのあるエロティックな書物を集めた、公開禁止の部屋が設けられて、それが「危険書庫」と呼ばれてきたわけである。
こうした書庫はパリだけでなく世界中にありますが、澁澤先生は大変にお詳しいようです。さらに拝聴しましょう。
エロティック文学を集めた書庫に「地獄」室とか「秘密」室とかいう大げさな名前をつけたがるのは、そういうものに対して通常人が感じる、当惑と恐怖の証拠かもしれない。(中略)厳重に公開を禁止している「地獄」室もあれば、一般人にも比較的容易に見せてもらえる書庫もある。ヴァティカンの図書館では、書物好きの研究者のために便宜をはかってくれるし、パリの国立図書館でも、学者や研究者の閲覧希望はかなり自由に許してもらえる。ワシントンの国会図書館は、この点に関してまったく自由で、十六歳以上の年齢の者なら誰でも閲覧を許される。ただし・・
「ただし」の後が気になりますが、それほどのことはありません。
ただし、閲覧者が本を見ているあいだ、背後にピストルをもった髭の番人が控えているというから、あまりいい気持ちはしないだろう。これは、挿絵のあるページを切り取って持って行くような不心得者がいるためである。
私も最近、佐藤昭子さんの本を色々な図書館で見ましたが、ある図書館では彼女の水着写真のページが切り取られていました。とんだ不心得者がいるものです。誓って申しますが、切り取ったのは私ではありません。
図書館の職員にも色々な人がいますが、私がいた頃、東京大学の本郷の図書館員は最悪でした。あまり愛想が悪いので、わざと怒らせて一触即発になったこともあります。当時は私も不安定で(今でも不安定ですが)少し悪かったかなとも思います。
お読みいただき、ありがとうございますm(_ _)m