2020年09月

これは私が中学生の頃に読んだ天文学の入門書です。荒木俊馬はアインシュタインから直接教えを受けたという天文学者・物理学者ですが、子供向けに面白く書かれています。
星野宙一という天文好きの中学校一年生が、何故か打出の小槌を手に入れて地球と同じ大きさになり、彗星に乗って宇宙(太陽系)に旅立ちます。彗星と会話しながら宇宙の驚異に触れ、更に太陽系外に出ようとして間違えて太陽に落下しそうになりますが、おとめ座から抜け出した女神フォトン(光子)に助けられて銀河を旅してゆきます。
松本零士は小学生の頃にこの本を読んで大きな影響を受けたそうです。『銀河鉄道999』の星野鉄郎は宙一、メーテルはフォトンに当たります。宇宙空間には空気が無いのに何故宙一は呼吸できるのかなど、厳密に考えるとおかしいですが、漫画的に面白いです。
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澁澤龍彦は「オドラデク」というエッセイで、カフカの『家長の心配』に出てくる糸巻、または独楽(こま)に似た奇妙な物体オドラデクについて考察しています。この物体は生き物のようでもあり、妖精のようでもあり、澁澤によると「現象の背後にある物自体が、カフカの思惟を通過することによって、突然、目に見える具体物となって顕現したかのような感じ」なのだそうです。
オドラデクという名前の由来については、スラヴ語、あるいはドイツ語とも言われるがはっきりしないと説明されています。次元の低い私などはむしろ日本語で「踊り木偶(でく)」「踊る木偶」と解釈すると面白いと思いましたが、さすがに澁澤はそんなことは書いていません。
澁澤はオドラデクのなかに、目的と意図のある生殖活動(結婚生活)の世界から締め出された、オナニズム(独身生活)の表象を見ています。澁澤自身は結婚していましたが、彼の文章は毒があって面白いです。
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私が知っているある会社では、次のような手口で社員をだまして思想調査が行われているようです。
勤怠アプリの担当者が、調査対象の社員の勤怠データのアカウントを削除します。すると当然、この社員は勤怠アプリにログインできなくなり、担当者に相談します。すると担当者は内心ニヤニヤしながら、表面はあくまで親切そうに「ログインできない?それは大変だね。私が見てあげるから、スマホを渡しなさい」そして担当者はスマホの閲覧履歴を見て、社員が反政府的な思想の持ち主かどうかを調査するというわけです。
今もこの担当者は哀れな犠牲者のスマホを覗き見しながら、思想調査を続けていることでしょう。
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8月は暑さに加えて、母の入院と施設入りという大きな変化があり、例年以上に疲れました。両親ともに長生きしていますが、それだけに人生や世界の無常を感じました。
時間は人間が設定した便利な概念ではありますが、あくまで観念であり、実在するものではありません。空間もそうです。アインシュタインは宇宙を三次元の空間と一次元の時間から成る四次元の時空間として捕らえましたが、あくまで物理的な見方です。
しかし物理学には面白い考え方があって、宇宙を「時間と空間」から成ると考える代わりに「運動量とエネルギー」から成ると捕らえることも出来ます。運動量は三次元、エネルギーは一次元の量です。こちらの見方のほうが宇宙の実相をよく捕らえているようにも思われます。
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