『古事記』によると、ホオリノミコト(山幸彦)が海神の宮で出会ったトヨタマヒメの正体は巨大なワニであったとされています。この「ワニ」については、爬虫類のワニが日本に生息していないことから、魚類のサメのことであるという説もあります。しかし、トヨタマヒメが出産時にワニの姿になり「匍匐委蛇」(腹這い、蛇のようにうねった)という『古事記』の記事を見ると、これはサメではなくワニと考えざるを得ないように思われます。因幡の白兎の話にも「ワニ」が出てきます。
「委蛇」という文字からは、57年に後漢の光武帝が倭奴国王に与えたとされる「漢委奴国王」の金印が想起されます。江戸時代に志賀島から出土したこの金印には蛇をかたどったツマミが付いています。おそらく偶然の類似でしょうが、倭の名前の由来に関係があるのかもしれません。
お読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m